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化学エネルギーと反応速度, 衝突理論

目次

Ⅰ 反応速度(Rate of Reaction)

Ⅱ 衝突理論と活性化エネルギー(Collision Theory and Activation Energy)

Ⅲ 化学エネルギー(Stored Chemical Energy)

Ⅳ 語彙

Ⅴ 英単語

 

Ⅰ 反応速度(Rate of Reaction, Reaction Rate)

CaCO3(s) + 2HCl(aq) → CaCl2(aq) +H2O(l) +CO2(g)

この反応における反応速度は, 単位時間あたりどのくらいの気泡が発生するかやどのくらいの速さで固体が溶けるか, などを観察することによって得られる.

反応速度は主に次の要因によって高められる.

  1. 温度を上げる
  2. を加える
  3. (反応物を加える, 圧力を高くする, 体積を減らす等により)濃度を高くする
  4. 表面積を大きくする(反応物をより細かくする)

 

Ⅱ 衝突理論と活性化エネルギー(Collision Theory and Activation Energy) 

反応が起きるには,

  1. 反応物が結合を壊すのに十分なエネルギーを持って衝突すること
  2. 反応物が結合を壊し, 新たな結合を作るのに適した方向で衝突すること

これらの二つの条件が満たされなければならない. これら二つの条件が満たされた時, 反応物は生成物に変わる.

反応を起こすための必要最低限なエネルギー量を活性化エネルギーという.

 反応速度が温度の上昇によって高められるのは, 高い温度でより多くの反応物の粒子が活性化エネルギーよりも高いエネルギーを持つからである.

 

Ⅲ 化学エネルギー(Stored Chemical Energy 

発熱反応や吸熱反応におけるエネルギーの放出や吸収は, 反応中における化学結合の解離や生成に関係する. 化学結合の解離にはエネルギーが必要であり, 化学結合の生成ではエネルギーが放出される.

化学反応において, 生成される結合が壊された結合よりも弱い, または少ない場合エネルギーは物質に吸収され, 生成物はより高いエネルギー状態になる(より高いエンタルピー<entahlpy>を持つ). これを吸熱反応という. 反対に, 作られる化学結合が壊されたものより強い, または多い場合, エネルギーは放出され, 生成物のエネルギー状態は低くなる. これを発熱反応という.

弱い結合を持つほどエネルギー状態が高くなるのは, エネルギー状態が高いほど物質が不安定になるからである. 例えば, 水は氷よりも高い温度をもつのでエネルギー状態は高いといえるが, 氷ほど固くはない.

解離する結合の数と生成される結合の数が同じ場合, 次のことが言える.

  1. 吸熱反応では, 生成物間の結合よりも反応物間での結合の方が強い.
  2. 発熱反応では, 反応物間の結合よりも生成物間での結合の方が強い.

 

 

Ⅳ 語彙

  • エネルギー(energy)

エネルギーとは, ある仕事をする能力のことである. エネルギーの総量は常に一定である(エネルギー保存の法則).

  • 系, システム(system)

系とは, 観察対象にある特定の空間を指す. 例えば, 特定の化学反応式に着目する時, 反応物と生成物が総じて系と呼ばれる. また, 系を取り巻く環境を外界(surroundings)といい, システム内のエネルギーと外界にあるエネルギー量の和は, エネルギー保存の法則より常に一定である.

  • エンタルピー(enthalpy)

エンタルピーとは, 物質内に蓄えられたエネルギーのことである. エンタルピーは, 物質の内部エネルギー(chemical potential energy)と運動エネルギー(kinetic energy)の総和である.

  • 反応物(reactants)と生成物(products)

化学反応が起きる前の物質を反応物と呼び, 反応後の物質を生成物と呼ぶ. 

  • 熱(heat)

エネルギーの一つである. 熱は常に温かい方から冷たい方へ移動する.

  • 反応熱(enthalpy change, heat of reaction)

反応熱はエンタルピーの差のことであり, 生成物のエンタルピーから反応物のエンタルピーを引いたものである. ΔHで表される.

  • 発熱反応 (exothermic reactions)と吸熱反応(endothermic reactions)

外界にエネルギーが放出される反応を発熱反応といい, 負の反応熱を持つ.

外界からエネルギーを吸収する反応を吸熱反応といい, 正の反応熱を持つ.

  • エネルギー図(energy profile diagram)

反応物と生成物のエネルギー状態を表した図である. 一般に, 横軸に時間, 縦軸にエンタルピーをとる.

  • 衝突理論(collision theory)

化学反応を分子レベルで考察するための理論である(当ページⅡ参照). この理論をもとに, 反応速度の変化を理解することができる.

  • 遷移状態(transition state), 活性複合体(activated complex)

化学反応中で最も高いエネルギー状態のことを言う. この状態を迎えた時, 結合の解離や生成が行われる. また, 遷移状態のエンタルピーと反応物のエンタルピーの差を活性化エネルギーという.

  • 触媒(catalyst)

触媒とは, 化学反応の速度を高める物質である. これらは反応物と反応し生成物を作るが, 触媒自体は最終的に変化しない. これをすることによって, 触媒は反応に必要な活性化エネルギーを低くすることができ, よって反応速度を高めることができる.

 

 

Ⅴ 英単語

  • dilute…希薄な
  • concentrated…濃度の高い
  • concentration…濃度
  • collision rate…衝突頻度
  • pressure…圧力
  • temperature…温度
  • fine…細かい
  • compression…圧縮