4月15日に選挙期間中の応援演説で和歌山を訪れていた岸田総理大臣が、パイプ爆弾によって襲撃されるという事件が起きました。
一部SNSでは、この事件が自民党のための捏造で「クライシスアクター」であるという言説が流れています。
この記事では、この事件が捏造だとしている人たちが根拠にしていることが、なぜ根拠として弱いものか説明します。
そもそもクライシスアクターとは
クライシスアクターの元の意味は、テロ訓練や災害訓練において被害者役をする役者やボランティアのことを指します。
捏造事件においてのクライシスアクターは、その事件の犯人や被害者が「アクター」である、つまり犯人や被害者を演じているという意味で用いられます。
今回の岸田総理襲撃事件で「クライシスアクター説」を流している人たちは、この事件を「役者を使った捏造の事件」だと主張しているわけです。
なぜクライシスアクターだと騒がれているのか
この事件が捏造だと主張している人たちがTwitter上で根拠としているものには以下のようなものがあります。
- パイプ爆弾が爆発するのが遅い(逃げる時間のための時間稼ぎ)
- 他の事件現場にいた人が同じ事件現場にいる(演者を使いまわしている)
- SPより犯人を取り押さえるのが早い人がいる
- カメラワークがよくできすぎている
これらの根拠が証拠になっていない理由
1. パイプ爆弾が爆発するのが遅い
これはただの疑惑にしかなりません。ただ単に犯人が無能だったと考えれば納得のいく話です。
爆弾の作り方を調べていたとしても、作り方は書いてあっても細かい秒数や火薬量などの情報が手に入りやすいわけではありません。
また、火薬量や爆発のタイミングを調整しながら爆弾を作るような場所や時間はなかったと考える方が普通です。
2. 演者を使いまわしている
これは全くデタラメです。同じ役者が過去の事件に出ていたとして上がっている画像も、ちゃんと見れば、というかちゃんと見なくても全然別人のことがほとんどで、年代すら違うような写真も多いです。
画像が荒くて全く証拠になり得ない写真も出回っています。
しかも、犯人役を同じ役者だと考えているの一部の人はなぜそう思うのでしょうか。何をどう工夫しても犯人の顔は報道されるのに、わざわざ同じ人物を犯人役にするはずがありません。
何れにしても、勝手に怪しいと感じている人がいるだけで、根拠としては弱いです。
3. SPより犯人を取り押さえるのが早い人がいる
犯人は群衆の中にいました。群衆の中にSPがいたとしてもかなり少ないはずです。
犯人が何かを投げた瞬間を見た可能性がある人の中で、一番犯人の近くにいるのはやはり一般人です。
そもそも一般人が犯人を取り押さえたかどうかは、自民党に事件が有利に働くかどうかにはあまり関係がないのではないでしょうか。
4. カメラワークがよくできすぎでいる
これも当たり前のことです。報道陣のカメラマンはプロです。アクシデントが起こった時に、そちらにカメラを向けるのは至極当たり前のことなのです。
なぜ犯人にすぐズームできたのかという疑問に対しては、
- そもそも犯人が何かを投げる瞬間を見ていた
- 投げる瞬間を見ていなくても、ものが飛んできた軌道で大体の位置がわかった
- 群衆が犯人を避けるように動いたので、犯人の位置がわかりやすかった
など、ほんの些細なことで犯人の場所がわかってしまいます。
それに、カメラは一台だけなわけでもないので、どれかは上手く犯人を写せるでしょう。たまたま上手く撮れたものを使用していると考えるのが普通です。
そもそも、上手く撮れてなかったら報道で使うはずがないというバイアスもかかっています。
クライシスアクターであることを否定しているわけではない
「犯人がクライシスアクターではなかった」を示すのは悪魔の証明なので、証明することはできません。なので、この記事ではクライシスアクターではないことの証明はしていません。
ただ、クライシスアクターであるとする根拠の否定をしているのみです。その点をご理解ください。
もし本当の証拠を見つけたならばそれは大発見なので、確実な証拠として公表してください。単なる噂話にとどめておくのはもったいないです。
まとめ
クライシスアクターを本当に信じていて、それを証明するためにはもっと強い根拠が必要でしょう。例えば、その人物を実際に知っている人に証言してもらうとか、お金の流れを見つけるとかです。
実際にそのようなものは今まで出てきていません。
陰謀論は意外にはまりやすいです。何もない平穏な生活より、何か裏があったほうが事件性があって面白く感じることは当然なのです。気をつけてください。