ついに、任意の事情聴取を受けていたNHKから国民を守る党(N国)の立花孝志党首が書類送検されたようです。
こちらは警視庁の発表によるものなので確実な情報です。
(追記:他の記事では警視庁の関係者ということになっていたため、訂正いたします)
このニュースの要点整理や、立花党首の主張などを簡単におさらいしていきたいと思います。
脅迫の疑い
立花氏は自身の党であるNHKから国民を守る党に所属していた中央区議である二瓶文徳氏に対し、無断で離党したことや、納めると決まっていたお金を納めていなかったので「党や中央区民を裏切った」として、彼を非難する動画を多数あげていました。
それらの動画の中には「人生潰しに行く」などの過激な発言が数回行われ、それを脅迫として受け取った二瓶氏が警察に被害届を提出、それにより捜査が行われていたということです。
立花氏の認否
脅迫の疑いがかけられた被疑者の立場である立花氏は、「脅迫をしたことは事実だが、いわゆる罪として認められる脅迫罪にはあたらない」と主張しています。
脅迫罪の条文には次のようにあります。
(脅迫)第222条 1 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
立花氏が主張しているのは、彼の脅迫は「名誉」に対して害を加えることを告知した脅迫であり、二瓶氏は区議会議員なので公人であり、傷つけるべき「名誉」を持っていないということです。
似たケースとして、脅迫ではないものの、政治家のスキャンダルは報じた側は罰せられないというものがあります。これは名誉を明らかに傷つけるものであっても、相手が公人であることなどの一定の条件次第では、公益性などの観点から罪にはならないという考え方です。
なので、彼は脅迫そのもののは認めているものの、脅迫罪にはあたらないという考え方をしているのです。
書類送検は悪いからされるわけではない
警察は被疑者が悪だから書類送検をするのではないということも覚えておいてください。
書類送検と聞くとなんだか悪いイメージを持たれる方も多くいらっしゃるとは思いますが、良し悪しを判断するのはあくまでも裁判所なので、書類送検そのもので被疑者の有罪が決まってしまったわけではありません。
しかも、刑事訴訟法第246条には以下のようにあり、捜査を開始した時点でほぼ書類送検しなければならないことになっているため、取り調べをしていた時点で書類送検がほぼ決まっているようなものでした。
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。
N国党党首立花は起訴を望んでいる
書類送検後、次は検察官が起訴するかどうかを決定するわけですが、実は起訴されないケースもよくあるのです。
よくニュースで耳にする「不起訴処分」というのがこれに当たります。
これは罪が起訴するほど重くなかったり、有罪にするには証拠が足りなかったりする場合に、もしくは疑いをかけるまでもない時などに行われます。
しかしこうなれば有罪になることはないのですが、立花さんは起訴してほしいと明言しています。
これは、不起訴処分になればやったことがうやむやになり、悪いことをしたのかしていないのかなんだかわからくなってしまうからです。
そのようなことになれば、世間からはなんだか悪いことをした人というイメージを持たれかねません。
ですが一旦起訴されてしまえば「有罪」「無罪」の判決がもらえることとなり、無罪を獲得すればやったことが間違っていなかった、つまり「行った脅迫が正当性のあるものだった」と世間に知らせることができ、リスクはあるものの見返りも大きいです。
さらに立花さんは立法府の一員ですし、行政が悪いといったものを司法の判断に委ねないのは三権分立の理念に反するという考え方も持っています。
まとめ
ニュースで書類送検と聞けば、悪い人がされるという印象を持ってしまうかもしれませんが、結局司法まで行かなければ、悪い人だったのかどうかなんてわからないということなのです。
世間的に今はイメージが悪いかもしれませんが、裁判で無罪を勝ち取り、身の潔白を示すことによってイメージ逆転を狙う、という面白い戦略を立花さんは取っています。
YouTubeをあまりみていない人は知らないかもしれませんが、N国には戦略としての裏がたくさんあります。一度動画を見てみても面白いかもしれません。
最後に、私はなんとなくN国擁護のような記事を書いています。なので、それをけしからんと思われる方もいるかもしれません。しかし、結局判断できるのは司法のみだという考えなので、あまり怒らないくださいね。