2016年の東北大学理系第2問の、素数が絡んだ整数問題です。
数学的帰納法で証明する誘導付きですので、比較的易しい問題となっています。
問題
以下の問いに答えよ.
(1) $6$ 以上の整数 $n$ に対して不等式
$$2^n>n-2+7$$
が成り立つことを数学的帰納法により示せ.
(2) 等式
$$ p^q=q^p+7$$
を満たす素数の組 $(p,q)$ をすべて求めよ.
2016年東北大学理系第2問より
解答
(1)
$n=6$ のとき、$2^n=64$、$n^2+7=43$ より、$2^n>n^2+7$。
$k\geq 6$ で $n=k$ のとき、$2^n>n^2+7$ であると仮定する。つまり、$2^k>k^2+7$ である。
このとき、
$$k^2+7>2k+1$$
であるから、
$$\begin{align}(k+1)^2+7&=(k^2+7)+(2k+1)\\&<2(k^2+7)\\&<2^{k+1}\end{align}$$
となる。ただし、最終行は仮定より導かれる。
よって、数学的帰納法により、すべての整数 $n\geq 6$ で、
$$2^n>n^2+7$$
が成り立つ。
(2)
$ p^q=q^p+7$ のとき、$7$ が奇数であるため、$p,q$ の偶奇は異なる。
よって、$p=2$ または $q=2$ のいずれかである。
(i) $p=2$ のとき
$2^q=q^2+7$ を満たす素数 $q$ を見つけたい。
(1) より、$q< 6$ であるから、等式を満たす可能性があるのは、$q=3,5$ である。
$q=3$ のとき、$2^q=8$、$q^2+7=16$ より不適。
$q=5$ のとき、$2^q=32=q^2+7$ である。
(ii) $q=2$ のとき
$ p^2=2^p+7$ を満たす素数 $p$ を見つけたい。
このとき、$2^p=p^2-7$ である。
$p\geq 6$ のとき、(1) より、
$$2^p>p^2+7> p^2-7$$
となるため $2^p\neq p^2-7$ であるから不適。
$p=3$ のとき、$p^2=9$、$2^p+7=15$ より不適。
$p=5$ のとき、$p^2=25$、$2^p+7=39$ より不適。
よって、求める素数の組は $(p,q)=(2,5)$ である。
ワンポイント
素数を含む等式が出たとき、偶奇によって素数の絞り込みが役立つことが多いです。
それさえ見つけられれば、誘導によって(2)の等式を満たす素数がだいぶ絞り込め、比較的簡単に解くことができました。