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「ピラミッドは恐竜によって建てられた」という都市伝説

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ピラミッドは誰もが知っているエジプトの超巨大な建造物です。その大きさから、ピラミッドを建設するにはとんでもない労働力が必要だったと考えられるのは言うまでもありません。

ほとんどの人は「ピラミッドは人間によって建てられた」と考えていますが、「ピラミッドは恐竜によって建てられた」と考える人もいるようです。この記事では「ピラミッドは恐竜によって建てられた」と考える人たちの根拠をご紹介します。

 

「ピラミッドは恐竜によって建てられた」と信じる人たちの根拠

一見とんでもない都市伝説のように見えますが、「ピラミッドは恐竜によって建てられた」と信じる人が出てきてしまう根拠は一体なんなのでしょうか?

 

根拠1:メレルの日誌

メレルの日誌とは2013年に紅海付近で発見されたエジプト最古のパピルスです。これはメレルという名前の人物が書いた日誌で、この人物はクフ王の時代のピラミッド建設に参加していました。

日誌の一部には、彼がピラミッド建設にどのように関わっていたかが書かれていました。その内容によると、彼は40人の部下とともに、ピラミッドの外側に使用する石を切り出してボートで運んでいたと考えられています。

実際には、文書が欠けてしまっている場所が多く、文書の内容を全て把握することはできません。

 

しかし「ピラミッドは恐竜によって建てられた」とする人たちは、この文書は「古代エジプト人によって飼いならされた恐竜によって、ギザのピラミッドが建設されている様子」を描いているとしています。

ピラミッドの外側に使われる石は巨大で、恐竜のような力の強い生き物でもいなければ持ち上げることは不可能という考えから、このような説が生まれている可能性があります。

 

根拠2:ナルメルのパレット

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ナルメルのパレット(右側中央に首の長い動物が描かれている)

 

ナルメルのパレットとは、紀元前31世紀頃のエジプトで作られた石の板のようなものです。そこには様々な絵が描かれていますが、裏面には2対の巨大な動物が描かれています。

この巨大な動物は首が長く描かれていますが、どうやらキリンのような見た目ではありません。首の上の方にはロープが巻かれ、それを人間が手綱のように引っ張っている様子が描かれています。

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ブラキオサウルスのイメージ

「ピラミッドは恐竜によって建てられた」という説を唱える人たちは、これがブラキオサウルスかそれに似た恐竜だと考えているようです。つまり彼らは、古代エジプト人はブラキオサウルスを紀元前31世紀頃にはすでに手なずけて利用していたと考えているのです。

クフ王の時代は紀元前26世紀前半なので、時代の辻褄は合っています。

 

根拠3:ピラミッドの謎はまだまだ残っている

実際、ピラミッドの謎は完全には解明されていません。今でも秘密の部屋が見つかるなど、新しい発見がまだまだ出てきている段階です。

この都市伝説の信者たちは、まだ発見されていない場所にこそ、恐竜の秘密が隠されているのではないかと考えています。

 

「ピラミッドは恐竜によって建てられた」とする根拠への反論

根拠1について、メレルの日誌は完全に見つかっているわけではありませんので、根拠としてはとても弱く反論もできません。

根拠2についてですが、ナルメルのパレットに描かれているのはブラキオサウルスではないという考え方が一般的です。この動物は、古代エジプトとメソポタミア文明に神話上の生き物として登場します。名前は「サーポパード」と言い、サーペント(蛇)とレオパード(ヒョウ)からできた造語です。残念ながらサーポパードの見た目は首の長いヒョウといった感じで、ブラキオサウルスの姿とはほど遠いようです。

根拠3については否定しきれませんが、人類と恐竜が共存していた時期が存在しないとするならば根拠とはなりません。

 

まとめ

この記事では「ピラミッドは恐竜によって建てられた」というトンデモ都市伝説をご紹介しました。

この都市伝説の元となったサイトや関連したYouTubeチャンネルは、2020年終わりころに削除や非公開となっており、現在では閲覧できません。根拠1については、彼らの論理を完全に再現できませんでした。

ですがナルメルのパレットの神話上の生き物は、見た目が完全には一致しないとはいえ、特徴はブラキオサウルスにそっくりで少し驚きました。ちょっとした論理が加わるだけでも、フェイクが都市伝説として広まりやすくなっていくのがなんとなくわかった気がします。

河合 望 (著):雄山閣 (2021/5/27)