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ジェンダーギャップ指数で日本の順位が低い理由と指標の問題点

ジェンダーギャップ指数の2023年版が公開され、日本の順位が低いことが話題になっています。日本は146カ国中125位と順位が低く、これはG7でも最下位です。

この記事では、ジェンダーギャップ指数は何をもとに計算されているのか、日本のジェンダーギャップ指数が低い理由、ジェンダーギャップ指数の問題点をご紹介します。

ジェンダーギャップ指数とは?

ジェンダーギャップ指数2023はこちら(PDF)で公表されています。

ジェンダーギャップ指数は、男女間の平等性を図る指標として公表されている値です。この指標の対象となる分野は、経済や教育、政治、保健です。

世界経済フォーラムという非営利財団によって発表されています。

1点が満点で格差がない状態を表し、0点を不平等を表します。

ジェンダーギャップ指数の計算方法

ジェンダーギャップ指数は、経済や教育、政治、保健に関わるさまざまなデータを得点化して計算されます。この得点に関わる指標は以下の通りです。

  • 経済:労働参画の男女比
  • 経済:同一労働の賃金の男女比
  • 経済:推定所得の男女比
  • 経済:管理職従事者の男女比
  • 経済:専門・技術者の男女比
  • 教育:識字率の男女比
  • 教育:初等・中等・高等教育それぞれの男女比
  • 保健:出生児性比
  • 保健:平均寿命の男女比
  • 政治:国会議員の男女比
  • 政治:閣僚の男女比
  • 政治:過去50年間における行政府の長(日本の首相)の在任年数の男女比

主要国のジェンダーギャップ指数

2023年に発表されたジェンダーギャップ指数では、数字が公表されている146カ国のうち、日本は125位と低い数字です。

ジェンダーギャップ指数上位の国々とG7の国々、近隣国である韓国と中国のランキングは以下の通りです。

順位 国名 指数(2023)
1 アイスランド 0.912
2 ノルウェー 0.879
3 フィンランド 0.863
4 ニュージーランド 0.856
5 スウェーデン 0.815
6 ドイツ 0.815
15 イギリス 0.792
30 カナダ 0.770
40 フランス 0.756
43 アメリカ 0.748
79 イタリア 0.705
104 韓国 0.680
107 中国 0.678
125 日本 0.647

上位には北欧の国が多く、日本はG7の中で最下位です。東アジアの主要国の中でも、日本は一番下の順位となっています。

2022年では日本は116位に位置しており、今回の125位はジェンダー平等性が相対的に悪化しているといえます。

日本の順位が低い理由と問題点

日本のジェンダーギャップ指数はなぜ低いのかを確認しましょう。日本の分野別の指数は以下の通りです。

分野 指数 分野別順位
経済 0.561 123
教育 0.997 47
保健 0.973 59
政治 0.057 138

教育や保健の分野では多くの国が満点に近い値を出しており、日本も高い数字を記録しています。

日本のジェンダーギャップ指数に大きく影響しているのが、経済分野と政治分野です。

経済分野では、特に管理職に就いている男女の差が大きいことが影響しています。

政治分野では男女差がさらに大きいです。
日本の国会議員の女性の割合は、衆議院で約10%、参議院でも約25%となっています。
国務大臣は11人で、そのうち女性はただ1人です。
日本では女性の首相経験者はいません。
これらを総合的に見ると、政治分野での日本の点数はほぼ0点という評価になっています。

ジェンダーギャップ指数が高い国ほど良い国か?

ジェンダーギャップ指数は、必ずしも男女両方が幸せであることを示しているわけではありません。この指数の発表者は世界経済フォーラムなので、どうしても経済に影響のある分野の偏りが大きくなってしまいます。

ジェンダーギャップ指数に考慮されていない代表的な指標として、女性に対する性暴力があります。
例えば、日本の性暴力の犯罪発生率は人口10万人あたり5.0件(2019)です。それに対し、アメリカでの性暴力の報告件数は10万人あたり43.5件(2019)*1、ジェンダーギャップ指数5位のスウェーデンのレイプ発生率は10万人あたり73件(2017)*2にも及びます。

このように、ジェンダーギャップ指数はあくまでも経済活動や政治参画に重点をおいた指標であり、普段の生活での性差の実態をうまく表せない部分もあります。

まとめ

ジェンダーギャップ指数の計算方法や、日本のジェンダーギャップ指数が低い理由などをご紹介しました。

ジェンダーギャップ指数は、あくまでも経済指標です。順位が低いからといって、普段の生活までの格差を表しているわけではありません。

日本のジェンダーギャップ指数が低い理由は、政治や企業の上層部にいる女性の少なさです。改善を図るとすれば、まずは政治からなのかもしれません。