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p^x=-x^2+9x-5が有理数の解xを持つような素数pとの組(佐賀大・医学部)

2015年の佐賀大学医学部の第4問の素数が絡んだ整数問題です。

誘導がついている問題です。誘導をきちんと使えばそれほど難しくない問題となっています。

 

問題

$p$ を素数とするとき, 次の問いに答えよ.

(1) $2$ つの自然数 $m,n$ の最大公約数は $1$ であるとし, $x=\frac{n}{m}$ とおく. $p^x$ が有理数であるならば, $m=1$ であることを示せ.

(2) 方程式

$$p^x=-x^2+9x-5$$

が有理数の解 $x$ を持つような組 $(p,x)$ をすべて求めよ.

2015年佐賀大学医学部第4問より

 

解答

(1) $p^x$ が有理数であると仮定すると、$2$ つの最大公約数が $1$ である自然数 $a,b$ を用いて、$p^x=\frac{a}{b}$ と表せる。

$x=\frac{n}{m}$ より、

$$p^{\frac{n}{m}}=\frac{a}{b}$$

$$p^n=\frac{a^m}{b^m}$$

と表せる。このとき、左辺は整数で、$a^m,b^m$ の最大公約数が $1$ であることから、$b^m=1$ である。よって、

$$p^n=a^m$$

となる。$p$ が素数であるので、ある自然数 $k$ を用いて $a=p^k$ と表せる。よって、

$$p^n=a^m=p^{km}$$

$$n=km$$

となる。ここで、$m,n$ の最大公約数は $1$ であるので、$m=1$ となる。

 

(2) $x$ が $p^x=-x^2+9x-5$ の有理数の解であるとする。すると、右辺は有理数であるので、$p^x$ も有理数であるとわかる。

また、$f(x)=-x^2+9x-5$ とする。この二次関数の軸は $x>0$ にあり、$f(0)<0$ であることから、$p^x>0$ であることを考えると $x>0$ である。

よって、(1) から $x$ は自然数であるとわかる。

 

ここで、

$$f(x)=-\left(x-\frac{9}{2}\right)^2+\frac{61}{4}\leq \frac{61}{4}=15.25$$

であるから、$p^x\leq 15$ である。

また、$15\geq p^x\geq 2^x$ より、$x\leq 3$。

$x=1$ のとき、$f(x)=3=3^1$。

$x=2$ のとき、$f(x)=9=3^2$。

$x=3$ のとき、$f(x)=13$ より不適。

 

よって、求める組は $(p,x)=(3,1),(3,2)$ である。

 

ワンポイント

(2)では、$x$ が正の有理数であることを示さなければ、(1) の結果を直接使うことができないことに注意してください。

また、二次関数の最大値や $p^x$ の範囲を求めることにより、場合分けが少なくて済みます。整数問題を解くときは、このような条件を絞り込める特徴がないかに注意しましょう。