2014年の東京海洋大学の整数問題です。
問題の形は整数問題でよくあるものですが、ちょっとした工夫が必要です。
問題
$x^3+4y^3=9z^3$ をみたす自然数 $x,y,z$ は存在しないことを示せ.
2014年東京海洋大学より
解答
$(x,y,z)$ をこの等式が成り立つ $x$ が最小の解だと仮定する。
任意の整数は、整数 $k$、$l=0,\pm 1$ を用いて $3k+l$ と表すことができる。
ここで、
$$(3k+l)^3\equiv 27k^3+27k^2 l+9kl^2+l^3\equiv l^3\mod 9$$
であるから、$x^3,y^3\equiv 0,\pm 1\mod 9$ であることがわかる。
ここで、
$$x^3+4y^3\equiv 9z^3\equiv 0\mod 9$$
となるのは $x^3\equiv y^3\equiv 0\mod 9$ のときのみであるから、$x,y$ はともに $3$ の倍数である。
ここで、整数 $a,b$ を用いて $x=3a,y=3b$ とおくと、
$$x^3+4y^3=27a^3+4\times 27b^3=9z^3$$
$$3a^3+12b^3=z^3$$
となる。
左辺が $3$ の倍数であるから、$z$ も $3$ の倍数である。
同様にして、整数 $c$ を用いて $z=3c$ とおくと、
$$3a^3+12b^3=27c^3$$
$$a^3+4b^3=9c^3$$
となる。
よって $(a,b,c)$ は $x^3+4y^3=9z^3$ の解である。
しかし、$a<x$ となるため、仮定に矛盾する。
よって、等式を満たす自然数の組は存在しない。
ワンポイント
$9$ の剰余類に着目すると簡単に解けました。
また、解が存在すると仮定すると、無限に小さい解が見つかることを利用して、最小の解を仮定したところから解答を始めました。